特定調停は、借入の原因や経緯に関わらず、借金の返済ができない(またはできなくなる恐れがある)人であれば、誰でも申し立てができます。
しかし、申し立てれば、全ての事案で調停が成立するわけではありません。ここでは、特定調停が出来ない人、向いていない人について説明します。
目次
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債務者側の理由で特定調停ができない・向いていないケース
収入が無い・少ない
特定調停成立後は、残債務を3年程度で完済する必要があるので、当然、返済能力がある人でなければ、特定調停は成立しません。
そのため、無職の人はもちろん、継続的な収入が無い人や、収入が少額の人には向いていません。正社員とまではいかずとも、アルバイトでも派遣社員でもよいので、まずは安定した収入を得ている必要があります。
借金が多すぎる
特定調停では、3年程度で完済できることが条件となります。
そのため、借金が多すぎて、3年ではとても返済できないという人は、特定調停手続きが不成立となってしまいます。借金が多すぎる場合、調停期日の段階で、調停委員から自己破産など、別の債務整理を薦められる可能性もあります。
減額が期待できない人
特定調停でも任意整理と同様に、支払い済みの金利について、利息制限法の上限金利(15%〜20%)に引き直して再計算を行います。
ただ、取引開始時から法定金利の範囲内だった場合、過払い金が無いので、借金はほとんど減額されません。減額されなければ、毎月の返済負担が減ることも無いため、特定調停申し立て前と大差ない返済を続けることになってしまい、結果的に行き詰ってしまう可能性があります。
よって、過払い金が期待できない人は、あまり特定調停に向いていないと言えます。
手続きを最後までできる自身が無い人
特定調停は、債務者自身で手続きを行い、費用を抑えられることが、最大の特徴です。
申立書などの作成や添付書類の取り寄せなども、すべて自分ひとりで行う必要があります。申立書などに関しては、法律の知識が無くても記入できますが、裁判所に提出するものなので、正確に作成する必要があります。また、住民票の写しや給与明細などの添付書類も、裁判所から指定されたものを、不備なく整える必要があります。役所での手続きをしたことが無い人にとっては、その方法から調べる必要があり、根気のいる作業となります。
自分で動いたり、調べたりするのが億劫な人にとっては、特定調停はあまり向いていないと言えるでしょう。
平日に時間が取れない人
特定調停では、申し立てや調停委員との話し合い(調停期日)のため、数回裁判所へ足を運ばなければなりません。
裁判所の開庁時間は、平日の日中なので、土日や夜に手続きをすることはできません。調停期日は事前に呼出状で指定されますが、仕事をしていれば、日中に裁判所へ出向くことは簡単ではありません。
特に、アルバイトや派遣社員の人は、立場上、簡単に休暇を取ったり、遅刻・早退したりすることはできないかもしれませんが、柔軟な対応が求められます。ただ、解雇されては本末転倒なので、普段から真面目に勤務して、信用を得ておく必要があるでしょう。
債権者側の理由で特定調停ができないケース
業者の方針
特定調停は、法的な債務整理ですが、調停委員を仲介した協議により合意に至るので、債権者は必ずしも調停内容に応じる必要はありません。将来金利のカットなども要求されるため、業者の方針として、特定調停に応じないというところもあるようです。
自己破産や個人再生に持ち込まれると、債権者としても回収額が目減りするので、応じるケースは多いと思われますが、返済意欲をしっかりアピールできないと、調停が不成立になってしまう可能性もありますので、調停委員や債権者に認めてもらえるような返済計画を立てるように、心がけましょう。