

インターネット関連のベンチャー企業を仲間とともに立ち上げることを決意したものの、事業の立ち上げそして運営していくにあたって資金があと500万円ほど足りないという問題がありました。(前回『第1話【起業】自己破産の始まり』)
新たに立ち上げる事業は当時伸びていた「ブログシステムサービス運営」ということでインターネット関連上場企業からの出資の話や個人投資家からの出資の話もありました。しかしその時は独立性を保ちたいと思いで、それらすべての話を断り自分たちだけで資金を集めることしたのです。
今思えばどこか出資を受けることに自信がなかったのかもしれません。
資金集めといっても方法としては「お金を借りて金利を付けて返す」という融資しかその時の我々にはありませんでした。立ち上げ間もない会社だったため銀行や信用金庫からの融資は期待できず、可能性があったのは「国民生活金融公庫」(現:日本政策金融公庫)でした。
-
第1話【起業】自己破産の始まり
金太郎(自己破産経験者)これから僕の「借金から自己破産、そして復活までの物語」をお話します。ぜひ最後までご覧になってくださいね。 くま吉(借金中)第1話は借金のきっかけとな ...
スポンサーリンク
国民生活金融公庫審査担当との戦い
国民生活金融公庫の支店へ融資申込書類を取りに行き窓口の人に書類の書き方の説明を受けた後、一旦オフィスに戻り書類作成を開始。
国民生活金融公庫と言えども、創業計画書(どういった事業を行うのか、売上見込・予定の仕入先・現在の資金状況・代表者略歴などを記載)や登記簿謄本、代表者が連帯保証に入る借入申込書など、それなりの量の書類の準備が必要となります。

出典:日本政策金融公庫HPより
一通り書類を準備し希望融資額を500万円に設定し、融資審査担当者にアポイント取り面談に訪問。
その時に融資審査面談に立ち会ったのが30歳前後の感じの悪い若い男性でした。正直のところ2005年頃「国民生活金融公庫」の融資審査担当者なんてインターネット関連サービスのことなんて何も分かってないだろうから、適当に儲かる話を言っておけば大丈夫だろうと、私は完全に油断をしておりました。
その感じの悪い男性職員は、インターネット関連の”にわか知識”はあるようで意地悪な質問を次々としてきました。
「いまさらブログサービスなんて遅いんじゃないですか?」
「インターネット業界は2番手、3番手で参入しても勝てませんよ。」
まるで最初から融資審査を落としたいかのような質問が次々と投げかけられました。
心のなかでは『政府からの公的な資金で守られてこんな楽な商売やっているヤツに何が分かる!』とも思いましたが、審査担当者に嫌われては元も子もないので「どうやって事業を伸ばして行くのか」を何とか説明するも面談の雰囲気は悪いまま終了。
「結果は1週間後にご連絡します」とのこと。
当時若かった私はなぜ融資を落とすような勢いで質問をするのか、と憤りを感じましたが、ここで500万円の融資が下りなければ事業自体立ち上げが困難になるため神にも祈る思いで1週間を過ごしたのでした。
1週間後、例の感じの悪い男性職員より携帯電話に連絡が。結果は「残念ながら融資は出来ない」とのこと。
融資が下りなければ事業自体が立ち上がらない、一緒に起業に参加した部下3名にも顔が立たない、そう思った私は電話で「なんとかして欲しい、必要であればいくらでも追加の情報を出すので再審査をしてほしい」と必死に食い下がりました。
「…厳しいですが再考して3日後に連絡します」となったものの、3日後連絡はきたものの「融資はできません」と同じ回答だったのです。
審査が落ちた理由は事業計画の甘さもありましたが、大きくマイナスに響いたのが「代表者自身の個人借入状況が良くない」ということでした。
当時、会社員の時に調子に乗り外車を購入した際のローンが200万円以上残っていたのです。当たり前ですが国民生活金融公庫でも代表者個人の与信状況をCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターで確認をとります。
参考信用情報機関(JICC・CIC・KSC)への情報開示の方法

出典:日本政策金融公庫HPより
あの時は「『政府が国民のために運営している機関』がなぜ貸さないのだ!」と怒りましたが、今となっては国民の税金が元となっているのところなので、「大事な血税が貸し倒れでなくならないように私のような軽薄は起業家には絶対に貸さない」という判断は正しかったんだと思います。


スポンサーリンク
高金利での借入を行う
「国民生活金融公庫」(現:日本政策金融公庫)の融資審査が通らなかった私は他に借りれるところが無いか奔走します。
起業の際に声をかけた部下3人は既に退職の準備しておりいまさら後に引けません。いろいろ調べたところ当時創業間もない会社に融資してくれる銀行として新銀行東京という銀行がありました。
新銀行東京は2005年当時の東京都知事石原慎太郎氏の旗振りの下、中小企業に対する無担保融資などを行い資金繰りに悩む中小企業を支援しその事が日本経済再生の原動力になるとした都知事肝いりで立ち上がった銀行でした。
創業間もない会社でも融資を行っていたのですが、その場合の金利は高く年利8%という高金利でした。(国民生活金融公庫は1~3%)
背に腹は変えられなかった私は新銀行東京の窓口に相談に行きました。同じく融資関連の書類一式をもらい新銀行東京の融資審査面談に挑みました。一度「国民生活金融公庫」で経験していたので審査面談はスムーズに終了。
後日300万円分(年利8%)で正式に融資が決定しました。
しかしながらまだ自己資金500万円・外部出資300万円に融資500万円で合計1300万円での事業運営を予定しておりましたで、あと200万円分が足りません。もう時間も無かったので残り200万円分は私がクレジットカードのキャッシングとカードローン会社2社(いずれも金利15%)から借りることに。
事業したこと有る方なら分かると思いますが、運転資金を金利8%や15%といった高金利で借りたらまず返せません。


スポンサーリンク
よほど少人数で利益率の高いビジネスであれば別ですが、創業間もなく利益が出るのにある程度時間が掛かる事業を行うのに高金利でお金を借りても事業が立ち上る前に確実に破綻します。高金利で借りたお金はあっと言う間に運転資金として消え、高い利息をつけて返済する日々が始まりますが事業が立ち上がってないので返せる宛が無いのです。
こんなことは冷静に考えれば分かることが、国民生活金融公庫に融資を断られ起業仲間の部下3人の事を考えそれが焦りとなり、判断力がぶっ壊れていたのです。(ちなみに新銀行東京は開業わずか3年後に1,400億という負債抱え破綻します。そのうちの300万円が私の会社が返済できなかった分です。)
◆起業スタート時の資金状況
自己資金:500万円(創業メンバー3名の合計)
外部出資:300万円(個人投資家より)
銀行融資:300万円(金利8%)
カードローン:200万円(金利15%で2社)
合計 1,300万円
これでいよいよ事業が本格的に開始するのです。
しかしこんな行き当たりばったりの起業計画だったので、当然ながら事業開始後も様々なトラブルに巻き込まれます。
そして小説やドラマのように乗り換えられると思っていたそれらのトラブルは、乗り越えられることはなく数年後に金利で膨らんだ多額の借金を私は一人で背負い自己破産という道へ進むのでした。


自己破産復活物語(全9話)
【必見】借金で苦しみ自己破産すべきかどうか悩んでいる人へ




>> 自己破産ってデメリットあるの?経験者がはじめて語る本当の事とその後の人生 <<