自己破産について解説する著書などは多いですが、実際に自己破産を経験した私が担当弁護士とどのようなやり取りや準備を行ったかという「生の声」の方が皆さんに伝わりやすいでしょう。
自己破産に至るのは、分かり易く言うと、収入や債務などを考慮して、債権者との話し合いで債務を圧縮できたとしても短期的には返済不能になる方がとる道です。
この章では、自己破産をする上で、その準備段階から実際に裁判所で自己破産手続きや免責が認められるまでのお話しをいたします。
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1.弁護士に会う前に資料などを準備しておく。
弁護士と会うのに「何も用意しない」では時間と費用の無駄です。
「無料法律相談」は個人弁護士で行っているものもありますが、回数や時間が限られています。
また、市役所での「無料法律相談」もありますが、曜日や時間が限られていますし、予約が多くてなかなかタイミングが合わせにくいです。
私の場合は、個人弁護士の「無料法律相談」で何人かの弁護士に会い、また「法テラス」(3回までなら無料、1回につき30分)を3回利用しました。
ちなみに、私の場合は2ヵ所の法テラスで相談をしましたが、各地の法テラスでそれぞれ3回相談できるのではなく、全国合わせて3回のみです。
30分はとても短いので、余程準備しないと弁護士には伝わりませんし、「弁護してあげよう」という気にはならないでしょう。
2.具体的にはどんな資料を準備すればよいか
「債権額」がどれくらいあるかを示す書類を準備する
手書きの一覧表でも構いません(私もそうしました)。
「全体でどれくらいあるか?」を短時間で示すことを意識しましょう。
できれば、契約書や自宅に届いたハガキなどを持っていくと「事実確認」がしやすいです。
勿論すぐに用意できなくても、「次回持ってきて下さい」と指示があります。
最初から100点満点の準備は無理ですので、可能な限りで構いません。
「収入」はどれくらいあるかを示す書類を準備する。
こちらも一覧表を準備します。
具体的には、給与明細、児童手当など公的な収入など「家計全体」が把握できるようにします。
「保険」はどのようなものに加入しているかをを示す書類を準備する。
保険は「終身保険」や「医療保険」「学資保険」など様々なタイプがありますが、この中で「解約返礼金」が発生するものは「資産」になります。
「貯金額」など今現金がいくらあるか?を説明できるようにする。
自己破産しても全ての財産がなくなるわけではなく、99万円までは自由財産で所有が認められます。
車などの動産、不動産などの財産がどれくらいあるかも書類を準備する。
「自己破産」は売れるものはなんでも、没収されるという誤解をしている方もいますが、そんなことはありません。
社会通念で「生きていくうえで最低限必要なもの」は残ります。
多いのが「車」はローンが残っておれば、所有者はローン会社ですの手放すことになります。
車を手放したくないからといって、直前に名義を親戚などに変更するのはやめたほうがいいですね。
「資産隠し」を疑われる可能性があります。
これらを踏まえて、弁護士と具体的に調整しながら「破産手続き」の準備に入ります。
3.弁護士に開示する資料はどんなものがあるか?
家計収支表
毎月の収入を示す給与明細など収入が全体でどれくらいあるか?を示すもの。
預金通帳
過去にどんなお金の出入りがあったかを調べられます。
分からないことは質問されます。
通帳記入もしておかなければなりません。
JAは地域が変わると通帳記入さえできませんでした(出入金は可能)。
私のは古いタイプの通帳を長年放置してたので、「取引履歴」を発行してもらいました。
楽天銀行はネットで印刷できますね。
会社勤めなら「退職金見込み額」を示す。
私は警備員だったので「職業制限」のため、警備員をやめざるをえなかったので、ある意味会社に公然と「退職金見込み額」の書類を発行してもらいました。
しかし、職業制限に抵触しない一般の人たちはまず、「会社には知られたくはない」と考えるのが自然です。
担当弁護士から聞いたのですが、他の相談者には「就業規則で勤続年数や役職などで、ある程度わかるだろうからそれを教えてほしい」とアドバイスしたそうです。
債務が増えた経緯、また借金をした理由、家族構成やこれまでの人生のことで「自己破産手続き」と関係あると思われることは説明する。
債権者には、とにかくなぜ払えなくなったかを説明する必要があります。
なので、客観的な事実や説明できるだけの理由が必要です。
私の場合は支払いが苦しくなった頃、車を買い替えました。
「なぜ、生活が苦しいのに買い替えたのか?」と疑問が浮かぶはずです。
その時は、「燃費や税金の高い車を所有していたが、維持できないと考え燃費のいい車に買い替えました」と自分の言葉で説明できないといけません。
それがないと、弁護士としても裁判所や債権者に説明できないからです。
ローンやクレジット返済、月賦返済は全てやめる。
「もう支払えません」という姿勢を示さないといけません。
というより、誰にも返してはいけません。
ある人にだけ返してしまうと、別の人からは「あの人に返すなら、私にも返してよ。返せる金があるんでしょ?なぜ自己破産しようとするの?」とかみ砕いていうとそうなります。
水道光熱費は債務でも資産でもありませんがをクレジット払いにしていれば、「借金」です。
コンビニ払いにするか、債権者にはなっていない金融機関に変更します。
全ての準備が終われば、弁護士に「受任通知」を送ってもらいます。
弁護士は事前に、こちらから伝えた債務者リストに基づいて、各債権者に「受任通知」を送ります。
これで、債務者からの取りたての電話やはがきが止まります。
また給与の差し押さえもできなくなります。
弁護士が裁判所に「自己破産の申し立て書」を提出します。
これで、自己破産の手続きが公的に始まります。
申し立てのため面接に出る。
裁判官と弁護士と債務者が面接に臨みます。
ただし、債務者は義務はありません。
私は面接には行きませんでした。
破産手続開始決定
免責審尋期日に弁護士と一緒に裁判所に向かいます。
免責許可決定
免責が決定すれば借金はゼロになります。
ただし、この免責許可決定から1ヵ月後に正式に決定します。
特に「お知らせ」はありません。
以上が、「自己破産手続き」の流れです。
あくまで債務者という私から見た流れになります。
私の場合、住宅ローンが払えず裁判になりましたが、裁判の期日前に弁護士に会いこのことは勿論相談はしました。
結果は、裁判に行かず、資料も裁判所には出しませんでした。
裁判所から送られてきた内容に異議はなく、弁護士に受任通知を出してもらっていない段階で出廷してもしなくても判決が変わらないからです。
この記事を読み、自己破産の手続きが順調にいくことを願っています。
【必見】借金で苦しみ自己破産すべきかどうか悩んでいる人へ




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