

なんとか資金を集め事業を始めるも、思うように事業が立ち上がらず日々イライラが募りました。(前回『第3話【焦燥】立ち上がらない事業』)
当初の起業目的だった独自のブログシステムサービスはシステム購入から外注開発会社との共同開発・運営契約で開始まで半年かかる予定で、更にそこから半年から1年はまとまった売上が期待出来ない状況でした。
それまではもう一つの事業であるウェブサイト制作事業でなんとか日々の運転資金を賄わなければならない状況にも関わらず、そのウェブサイト制作事業もまた思うように行かず起業メンバーの仲間たちとの間に軋轢(あつれき)が生まれるのでした。
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第3話【焦燥】立ち上がらない事業
金太郎(自己破産経験者)なんとかお金を借りることができて、いよいよ会社経営がはじまります。 くま吉(借金中)売上無いのに借金して会社立ち上げようってが危ないよね。 &nbs ...
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受注するも入金されない契約
もともと広告代理業がメインだったため「ウェブサイトを作る」ということは得意ではなかったのです。
メンバー4人が見よう見まねでウェサイト制作を請け負うための自社のHPを作り、広告を出して問い合わせを待ちました。問い合わせが来たら一度訪問をして打ち合わせ。そして契約をし実際に制作に入ります。契約後は提携している外部のウェブ制作会社が2社あったのでそこへ外注をします。
お客さまと契約して作りたいサイトのイメージ、仕様を確認して外部の制作会社へ注文を出しますが、やはりお客様の要望はころころと変わるのです。
外部のウェブ制作会社から試作版が上がってくるのは1、2週間はかかりますが、それを修正、また修正…と繰り返されるので、簡単な5〜10ページのウェブサイトを15万円程度で作るにも2,3ヶ月はかかるのです。そして納品、検収、その1ヶ月後にクライアントから入金、という流れでした。
これで粗利が30%〜50%程度のビジネスです。ある程度ウェブサイト制作の経験がある人なら、こんな値段では受けないと思いますが、経験がなかった私たちはすべて手探りだったのです。
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また契約をとっても制作が開始されないことも多々ありました。期間が空いてしまうのでその後お客様の気が変わってしまうのです。納品、検収後に入金なので、いくら申込書をとってきても実際に制作が始まらなければ売上が入金される見込みはありません。
にも関わらず、値段が安く問い合わはとれるので「今月は3件申し込みとりました!」「今月・来月で今5件の申し込み来てます!」といった数字が上がるものの、実際に製作開始して納品、入金されるのはこの半分程度でした。
この分まで見込んで会社運営を考えるべきだったのですが、ビジネス経験が浅かった私はメンバーが言う報告・数字をそのまま信じ、申込件数分の金額が2,3ヶ月後には入金されることを期待して経営をしてしまったのです。当然あっという間に資金ショートを迎えることになります。
また代表取締役であった私の焦りから、メンバーへ厳しいプレッシャーを掛けすぎてしまい、中には嘘の申込書を自分で作成するメンバーも出てきました。もう会社経営としては成り立っていませんでした。
わずか数ヶ月前は熱い想いで起業した4人のメンバーでしたが、その信頼関係は崩れていくでした。


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社内で飛び交う罵声
「この申込はいつになったら制作が始まるんだよ!」
「この案件はいつクロージングできるんだよ!」
「この案件は来月入金できるんだろうな!もう資金繰りがいっぱいいっぱいだよ!」
私からのこんな罵声が毎日飛び交います。
メンバーの中には嘘の申込書を作る人間や会社に来なくなるメンバーもいました。メンバーへの厳しい叱責、メンバー同士の喧嘩も増えてきました。起業して1年経たずしてもう組織の崩壊が始まったのです。
私の精神状態もギリギリです。そんな状態でメンバーに給与を支払うのが本当に苦しかったのです。
自己資金の大半は自分の貯蓄と自分名義での借り入れ、会社名で借りたお金もありますが、連帯保証人として入っているのは代表者の私です。別に会社が倒産しても私以外のメンバーは誰も借金取りに追われることはありません。
心の中では『お前らは気軽でいいよな。この会社だめになったら借金取りから追われるんだぞ』という感情でメンバーと接していました。もはやチームとして成り立つワケがありません。
ついに1年経たずしてメンバーの一人が退職を申し出ます。


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去っていく仲間たち
起業メンバーの一人から退職の申し出を受けた時の私の正直な気持ちは「ほっとした」というのが本音です。
1年も立つ頃にはもうメンバーとは顔を合わせるのは苦痛で代表の私が出社拒否寸前でした。更にメンバーに給与を払うお金もわずかしかありませんでしたので、社員側から辞めたいと言われたときは「ほっとした」というのが正直なところです。
更にもう1名の社員もすぐに退職を申し出てきます。もう次の会社への就職が決まっているようでした。元々若いメンバーでインターネット関連の大手企業に務めていたので、同じ優良企業へ好条件ですぐに転職が決まったようでした。
2名のうち1名は創業のときに出資をしていたので、その分の株を買い取る必要がありました。お金が無い私は退職するメンバーの株を買い取るために、またカードローンでキャッシングをして支払いを行いました。
これでついに残ったのは代表取締役の私と、取締役1名の2名になりました。
ブログサービスの立ち上げに一縷の望みを掛け、ウェブ制作で日々の運転資金をまかないながらの戦いはそれほど長く続きませんでした。


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